二戸長屋のCB公住リノベ「いかすいえ」

●(公財)住宅リフォーム・紛争支援センター理事長賞

■施主様ご要望:リフォームの動機

・住まいは豊浦町の公営住宅で築48年経過の物件。整備計画では解体方針に分類。
・居住者は払い下げを受けた上で長く住むことを考え改修の是非を含めて依頼する事にした。
・全道各地に残るCB造は断熱・耐震性に欠け解体費の嵩む「負動産」なのか?
・改修により新たな価値が生まれる「資源」なのか?
・地域貢献をも含め模索が始まった。

■プラン決定のポイントと工夫

・2戸1棟の改修は予算的に合わず一旦中断したが、自宅1戸だけの改修とし、後1戸は工房として既設のまま使う工夫から再開にこぎ着けた。
・調査から築50年近く経過して不同沈下は無くクラックも見られず床レベルと小屋組の状態が良いことを確認し、外断熱によりCBの劣化を防ぐと共に畜熱層として活用し夏涼しく冬暖かい家に変身する事の説明により理解を得た。

before→after

after

■施主様ご感想:満足度など

・切妻屋根の桁方向にあった玄関が妻側に移動になり落雪による負担が軽減した。
・3LDKを玄関の位置変更と水回りの充実から2LDKに変更したが、屋根断熱で小屋組を室内空間に取り込む事により面積以上の広さ感が演出されている。
・小屋組、建具などの“ヴィンテージ感をいかす”方向から妻壁の一部は“既設ブロック現し”とし、リノベならではの旧宅の記憶を残されている。
・調査から築50年近く経過して不同沈下は無くクラックも見られず床レベルと小屋組の状態が良いことを確認し、外断熱によりCBの劣化を防ぐと共に畜熱層として活用し夏涼しく冬暖かい家に変身する事の説明により理解を得た。

■選択した性能向上の特性に配慮した点

・基礎断熱:SF75㎜ 、外壁CB外断熱:高密度GW16k120㎜、屋根断熱:セルロースファイバー300㎜、サッシ:樹脂アルゴンLOW-Eトリプルにより平成25年省エネ基準クリア。

■審査員からのコメント

築48年公営住宅のリノベーション。北海道の厳しい自然を耐え抜いてきたであろう住まいは、通常であれば解体されてしまう物件。綿密な調査、予算を含めた構想によって、ブロック造と木造の切妻屋根の姿、そして、素材をも生かし切っています。
外断熱を施したことで温熱環境を確保。コンクリートブロックの壁を内部の蓄熱層として表し、木造の小屋組みとの素材的コントラストは、時の経過を上手く生活空間の中に取り込んでいるとして、高評価でした。
新たな価値の模索は、地方に眠っている独自の価値の発見となっています。予算上、2戸続き家屋の一戸のみの改修であるが、半分を工房として遺すことで記念碑的な作品ともなっている。

2022「ジェルコ リフォームコンテスト」受賞ページ

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